桜坂しずくとかいう女
キャラクターを好きになるのには必ず理由があります。
食べ物の好みなんかとは好きになる理由が違うのです。
今どきただ単に胸がでかいとか背が小さくてかわいいとかそんな外見的特徴で人気が出るんなら儲ける側の人間は苦労しないわけですよえぇ。
オタクだって人間なので何かしら人間的な魅力をキャラクターに感じなければそう簡単に好きになったりしないわけです。
「なぜあなたは黒澤ルビィが好きなのですか?」
と聞かれれば
「なぜ好きかって?いいでしょう長くなると思いますが説明しますまず私はキャラクターに魅力を感じる理由には自分が持っていないものを持っているか自分と同じものを感じるかで大別されると思うんですよね彼女に関しては前者による部分が割合としては大きくて彼女は私にないものを多く持っていますまず彼女は表面上は弱虫臆病気弱などといった弱者としてのイメージが強いと思うのですが実は全くの逆でハングリー精神旺盛で諦めが悪く意思も硬い努力も怠らないとまぁまぁメンタル的に強い子であってうんぬらかんぬら」
などと訳のわからないことをのたまう自信があるのですが。
今月行われた虹ヶ咲の1stライブを見て改めて私は桜坂しずくというキャラクターが今の所好きだな、と思いました。
ですが、
「あなたは桜坂しずくというキャラクターのどこに惹かれましたか?」
と聞かれても
「えっ…と、それはほらアレ…あの…なに、顔?顔がいい??」
みたいな最低な答えしか返せません。
押しが尊くて無理とか顔が良すぎるとか言っていいのはライブ後のテンションの時だけであって、
ちゃんと真面目に推しを好きな理由が語れないようではオタク失格です。
考える、ということができるのが人間の特権なのです。
考えることをやめてしまったらもうそれは人間ではありません。
魅力を感じたからには、そこには絶対に理由があるはずです。
というわけで自分なりに桜坂しずくについて考えてみます。
ちなみにこういうことは初めてするのでほぼ自己満です。
「いやそれは違うんじゃないか」とか言われてもしりません。私の中の桜坂しずくはこうだというだけの記事なので。
とは言え、参考にできる資料がスクスタしかないので今回はスクスタのキズナエピソードに絞って考えていこうと思います。
当然のようにネタバレを大量に含むのでこれから桜坂しずく沼に落ちる予定のある方は回れ右でお願いします。
基本的な情報
桜坂しずく。
学年は一年生で多分16歳。
身長は157cm。
しっかりものの優等生で演劇部所属。
運動神経は良いけど、球技は苦手。
そんだけ。
それ以外の表面的な個性はないです。
今どき珍しいくらいにシンプルなキャラクターですね。
虹ヶ咲の連中は個性が爆発してるようなのがたくさんいるので、個性がないというのはひときわ目立ちます。
実際のところ彼女はその個性の薄さからいまいち人気が伸び悩んでいるというかぶっちゃけ人気は下から数えたほうが早いポジション。
キズナエピソード 1話 「物語の魅力」より
馴れ初めのキズナエピソード第1話では、彼女の演劇部所属という属性にスポットが当たります。
演劇について語る彼女は主人公をほっぽってついつい夢中になってしまったりする場面などもあったり。
他にも主人公のことを「先輩」と呼ぶ後輩的なところ、いつ舞台の練習が入っても良いようにイメージトレーニングなどを欠かさず行っていることなどがわかります。
第2話では、子供の頃から演じることについて興味関心が強かったこと、ただのおままごとでも設定をきっちり考えてしまうが故に他の友達からは「覚えることが多くて難しい」と言われるようになってしまったことなどが明かされます。
この段階では、とりあえず演劇に対して強い熱意を持っていること。しっかりもので真面目。といった印象をうけました。
キズナエピソード 5話 「苦手克服?」より
このお話は4話「球技大会に向けて」の続きになります。
どうにもバレーがうまくできなくて困っていた桜坂しずく。そんな彼女に対してのアドバイスが…
いや天王寺、それは無理があると思うぞ。
いくら演劇が好きだからっていきなりそんなバレーがうまくなるわけないだろう。
…でももしかしたら?
ひょっとすると??
まぁそうなりますよね。
冷静に考えなくてもわかる結果ですよね。ここまできれいに顔面で受けられる奴もそういないと思うぞ。
初見の時は「この子はこう見えて頭が緩い子なのか…?」と思ったりもしましたが…
逆に考えるなら桜坂しずくにとって「演じる」ということはこんな無茶のあることであっても馬鹿正直に実行してしまえるくらいには、
ウェイトの大きい、重要なものであるということも同時にわかります。
キズナエピソード 第6話 「本当の私」より
さぁここからが本番です。
今までののほほんとした当たり障りのないストーリーがここから一気に変わります。
次のソロイベントにむけての応援メッセージが他のメンバーに比べて少ないことを知った桜坂しずくは、
もっともっと歌やダンスの表現力をつけないと、と意気込みます。
そんな桜坂しずくに主人公は、ステージ上のしずくちゃんはいつもと違う、別人に見えると言いますが…
演じることを重要視する彼女はステージ上に置いても、もちろんスクールアイドルを“演じて”いました。
もしかしたらそこがなにかズレているのかもしれない。
演じるのではなく、素の自分を出してみるのもいいかもしれない…
感じたことを素直に表現する。
台本がなくても、それなら私にもできるかもしれないと桜坂しずくは意気込みます。
それでこれから本当の自分がどうのこうのとかそんな平凡なストーリーになるんだったら私は桜坂しずくには惹かれなかったでしょうね…。
キズナエピソード 第7話 「私らしさってどういうこと?」より
ソロイベント終了後の控室。
イベント自体は大盛況だったのですが、当の本人は浮かない顔。
自分なりにイメージしていた、理想のスクールアイドルを必死に“演じて”きた桜坂しずく。
私自身のことについては深く考えたことがない、というセリフは一見すると重みを感じますが、冷静に考えてみればそれほど不思議なことではありません。
年端も行かない子供が常日頃から自分のことについて考えることなどそんなにないからです。
しかし、そもそもそんな悩みを抱えているというか自覚しているのが“重い”のです。
何も考えていない、のではなく。
演じることに重きを置きすぎたがゆえに自分自身が軽い。
だからこそ、このセリフは妙に不穏な雰囲気を醸し出しています。
自分が今までやってきたことは意味がなかったのか?
なぜ確たるものもない朧げな「自分らしさ」に観客は今まで以上に盛り上がってくれたのか?
自分ですらよくわかっていない自分という存在に…
そして極めつけはこのセリフ。
今までにこんなニュアンスのセリフを吐いたキャラクターはラブライブにはいなかったはずです。
というかいたら困ります。
中学を卒業したばかりの生娘が言っていいようなセリフなんですかこれは。そもそもの話。
とても不器用で、でも真面目でだからこそこんな常人では抱かないような悩みにぶち当たってしまう桜坂しずく。
この状況を打破するため、みんなのところへ色々と話を聞きに行ってみることに…
ちなみにこの後まるっと3話分使ってAqoursやらμ'sやら虹ヶ咲のメンツと話をしにいくんですがそこ自体は割と内容がペラいというか、
そこまで確信に至るようなところがなかった(特にAqoursとの絡みは冗談抜きで1ミリも具体性のある話が出てこなくて悪い意味でビビりました)ので割愛します。
穂乃果との会話でとある大事なことに気がつけたというところだけ知っていれば後は特にピックアップするところは多分ないです。
いやある気もしますけど。しずくとかいう女は素直な子なのでそのへん自分の口で喋ってくれますからまとめるのが楽ですね。
キズナエピソード 第11話 「確かな光」より
考えに考え抜いて、桜坂しずくは一つの事実に気づきます。
演じることを大切にしてきたはずなのに、実際に自分が演じていたものは確たるものがないぼんやりとしたものであったこと。
そして、自分にとっては演じることこそが何よりも大事で大好きだということ。
他でもない、演じることそのものが自分らしさなのだという結論にたどり着きます。
そうと分かれば話は簡単。
朧げでぼんやりとしたものならば、しっかりと鮮明なものに仕上げればいい。
完璧なものを、完璧に演じることができればなんの問題もないはず。
いやぁ、ぶっ飛んだ発想だと思いますよ。
普通自分らしさを悩んでからこんな発想に飛躍できる奴はなかなかいないでしょう。
なんかいい話みたいになってますけど言ってみればただのものっすごい開き直りに近い話ですからね、これ。
しかしどんな決意も実際に形として昇華できなければなんの意味もありません。
決心のついた桜坂しずくへ、
主人公が送る2つ目の曲は…
そう、皆さんご存知の「オードリー」です。
ですがこの楽曲がスクスタの中の桜坂しずくの手によって具現化することはありませんでした。
何故か。
MVがないからです。
なんで?早く実装して???
というわけでこの決意が実際に形を伴い披露されたのは…
#虹ヶ咲1st
— 前田 佳織里 (@kaor1n_n) 2019年12月15日
1stライブ2日目!最高に楽しい時間をありがとうございました!!
しずくちゃんのような大女優になれていましたか?
そしてアニメ化も決定!㊗️これまで応援してくださったあなたのおかげです!これからも、みんなで夢を叶えていきましょう!🌈
みんなの声援が宝物! pic.twitter.com/Gm4nu89mFM
心に強く残った一曲です #虹ヶ咲1st pic.twitter.com/adN9Q9yhBK
— らんしょー⁶ (@punipuni_panayo) 2019年12月17日
他の誰でもない、桜坂しずく役の前田佳織里さん油断するとすぐ目つきが悪くなるしメンバーと一緒に食事をする写真を撮る時一人だけ缶ビール持ってるし趣味は麻雀で身長146のやべー女の手による1stライブです。
あのライブパフォーマンス、見た人には説明は必要ありませんよね。
なんなんですかねあのオーラは。LVのスクリーン越しにでもヒシヒシと伝わってくる威圧感、すごみ。
私はライブを見て初めて背筋に寒いものが走るような…
もはや恐怖と言って差し支えない感情を抱きました。
そもそものところオードリーという曲は非常に面倒くさい曲…いや、スクスタを絡めないのであれば別に面倒くさくはないのですが…
オードリーとは、言わずもがな有名な大女優オードリー・ヘップバーンのことです。
桜坂しずくの憧れの女優という設定からこの曲は生まれたのでしょう。
アルバム発売前には「オードリーwwwトゥースwwwww」とか散々ネタにされたりバカにされたりしましたが1stライブの度を超えたそれにやられて大体の人がネタにしなくなりました。
この曲は歌詞の一つ一つが本当にしんどいというかお前真顔でなに言ってんの???と突っ込みたくなるような要素が満載で、
この歌詞を考えた人は頭がおかしいのネジが数本いかれてるんじゃないかと思います。
とはいえこの曲は自分自身がわからない、演じることしかできない少女が大女優となることを切望する歌なのですが、
この心境描写は紛れもなく自分自身に対する悩みを抱いていた桜坂しずくそのものです。
ですが実際にこの歌を歌うのはその悩みを克服した桜坂しずくです。
もっと言うと桜坂しずくが歌うのではなく「桜坂しずくが演じる理想のスクールアイドル」が歌うのです。
…こんがらがってきましたね。
つまり事細かに説明するとオードリーを歌うということは、
「桜坂しずく」が演じる「桜坂しずくが考えた理想のスクールアイドル」が「桜坂しずくを題材としたオードリー」を歌うとかいう意味不明な構図が出来上がっています。
スクスタのストーリーはオードリーが作られるよりも後だったのか先だったのかはよくわかりませんがこのへんの整合性をうまく理解することは私にはできませんでした。
この辺偉い人に質問できる機会でもあるのならぜひとも質問してみたいのですがそんな機会は訪れません。残念。
まぁそんな細かいことはさておき、とにかく桜坂しずくとかいう女は、
ひたむきで、
まっすぐで、
強い熱意をもっていて、
でもちょっと空回りするときもあって、
とにかく一生懸命ながんばりやさんである。
というのが私の中での結論です。
ただ抱える悩みとか解決方法が常人よりも斜め上にぶっ飛んでいるというのもありますが。
そんな「まっすぐ」なところに、私は惹かれたんだと思います。
とは言ってもまだそんな本気で推すほどにはなっていないんですが。
とりあえず今回はここまでにしておきます。
またまとめたいときがあればそのときに。
桜坂しずくの、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の今後の活躍に期待しています。