改めて地震発生時のことを振り返る
もう街中はガソリンスタンド以外はほとんど日常に戻りつつある。
多分あと1週間もしないうちにコンビニの棚ももと通りになると思う。
一部地域を除いて、道路自体は殆どが無事だったこと、迅速な復旧対応の結果この風景があるんだなと考えると色々と思うところはある。
さてそんなことを言えるくらいには身の回りは落ち着いたので、当時の状況を振り返ってみたいと思う。
午前3時頃に突然目が覚めて、もの凄い揺れに襲われた。
今までに経験したことがないような激しい横揺れの最中、ワンテンポ遅れてスマホが地震警報を鳴らし始めてひどく煩かった。こっちはそれどころじゃねぇと思ったし、実際変に冷静に「あっこれダメなやつかもしれない」と考えたりもした。
やたら長く感じた揺れが収まった。
終わった、さて二度寝するかなどとはとても考えられない状態で、まず電気をつけてしばらく茫然としていた。
これはもしかしたらマズイかもしれない。
そう思いまず風呂に水をいっぱいにためた。
何故そうしなければならないのかとかはぶっちゃけよくわかっていなかったが、震災が起きる度に言われていることなので体は勝手に動いた。
そして飲料水を確保するため、家の中にあった空いている容器に片っ端から水を入れていった。
ここまでやって、他にできることないかと考え始めたところで電気が消えた。
停電、というのはまぁ雷がなったときなんかに何度か経験はしている。
しかし大地震の後に、というのは初めてだった。
これはダメなやつだ。
明らかにこれは普通の状態ではないと思った。
ライブ用のペンライトを白色で点灯させて壁にかけてランタンの代わりにして明かりを確保。
想像以上に明るくて、一本だけでもリビング全体を視認するには問題ないくらいの光量だった。
今の時点で家にあるものを確認してみたが、乾電池10本ほどとさっき貯めた飲料水、カップ麺が5つほど。
まだガスは止まっていなかったが、貴重な水を消費するカップ麺はできれば頼りにしたくなかった。
リュックサックと財布を引っ張り出し自転車でコンビニまで走った。
家から出た瞬間、街灯や信号機がひとつ残らず消えて完全な暗闇になっていた街を見て冷や汗がどんどん出てきた。
コンビニに着くと、非常電源でどうにか運営はできているようだった。
私と同じように寝巻きで飛んできた、というふうな客が何人かいた。
想像していた以上に人が少なくてまず驚いた。
意外とみんな、備蓄はしっかりしてるんだろうか。
水とカロリーメイト、惣菜パンとアルコールシートを購入。
因みにここから電気が復旧するまでカードや電子マネーは使えなかった。
家に戻り、まず水を飲もうと蛇口を捻ったが水が出てこなくなっていた。
停電に加えて断水。
あぁ、これはいよいよマズいことになった。
もう何が何だか分からず、ラジオで最低限の情報だけ収集してそのまま寝た。
翌朝。
会社から自宅待機命令の電話がきた。
惣菜パンを齧りながらこの先のことを考えてみたが、とにかくこれがどこまで続くのかが分からなかったので、物資の追加購入をすることにした。
朝7時頃からコンビニを駆けずり回り、カロリーメイトやらなんやらを捜し求めたが大した収穫はなかった。どこのコンビニも棚はスカスカだったし、そもそも営業していないところもあった。
帰りにドラッグストアの行列に二時間並び、取り敢えず1週間くらいは生きていけるだけのものを購入しそのまま戻った。
家の中では何をするでもなくひたすらラジオを聞いていた。それ以外にすることもなかったし、なにもできなかった。
だいたい昼を過ぎたあたりで電波が繋がらなくなった。
どうすることもなくそのまま夜になり、カロリーメイトを食べていた時にラジオからスマホの充電をしている施設の情報が流れてきた。
この時点で半分くらいしかバッテリーは残っていなかった。
10000mAのモバイルバッテリーが2つあったが、使わないことに越したことはないと思いすぐに向かった。
施設には発電機と延長コードが多数あったが、まだコンセントにはだいぶ空きがあった。
そもそも今のご時世にラジオを持ってる家庭が少ないという現実をこういう形で見ることになるとは。
そうやって非常電源の下、スマホを充電しながらラジオを聞きつつただひたすらに時間が流れていった。
暗い部屋でひとりきり、よりは見知らぬ人だとしても集団の中にいた方がまだいくらかマシだった。
そんなこんなで二時間近く。
充電が終わってもなんとなくそこに居座っていたら突然電気がついた。
みんながみんな地べたから立ち上がりウキウキときた様子で散り散りになっていった。
私もすぐに家に戻り、恐る恐るブレーカーを上げてスイッチを入れた。
電気がついた。
もうただそれだけのことではあったが、本当に安心した。
そこから先はまぁ、特に何事もなく。
今回の出来事は、たった2日間程度ではあったがあまりにも重くて大きい出来事だった。
二度と忘れないように、忘れることがないようにしたい。